肩峰下インピジメント症候群|病態・症状・画像・治療まで全て解説!

どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
先日Spolinkの先行メンバー募集を開始しました。
今回の募集でうれしい誤算は、医師の応募数がかなり多いことです。
すべての職種が大切ですが、現状の医療体制ではそのピラミッドのトップは医師ですので、そこのメンバーがこれだけ集まってくださっていることは純粋にうれしく思います。
募集は2019年1月15日までですので、よかったら是非ともご応募頂けると幸いです。
よせやん
さて、今回は肩峰下インピンジメントについて簡単に紹介します。
しばらく肩シリーズで進めていきます。
Contents
肩峰下インピンジメントとは
まずは、肩峰下インピンジメントの病態から説明します。
腱板(特に棘上筋腱)は肩峰の直下に存在し、上肢挙上動作、下降動作の時に腱板が肩峰下面ギリギリのところを通過します。
肩峰と腱板の間には肩峰下滑液包が存在し、肩峰と腱板との摩擦を和らげていますが、頻回の繰り返し動作により、腱板や肩峰下滑液包の炎症をおこしたり、さらには腱板断裂を引き起こしてしまいます。
また、肩峰に骨棘ができたり、腱板が付着する大結節の変形治癒などにより正常な形態が破綻した場合には、病的な衝突(インピンジメント)が起こり、炎症や痛みを引き起こします。
主なものには、腱板炎、腱板断裂、石灰性腱炎などがあります。
症状
続いて、肩峰下インピンジメント症候群の症状です。
動作時の痛み、特に上肢を挙上する途中、下降する途中の痛みが特徴的(painful arc sign:有痛弧)です。
特に、症状が進行すると夜間痛をきたします。
painful arc signは、肩峰下を腱板が通過する時に生じる痛みですが、一般に挙上動作時90度以上でみられ、下降動作時には90度以下でみられることが多いと言われています。
それは、肩甲骨が疼痛回避のため上腕よりやや遅れて動くためです。
また、肩峰と腱板との衝突現象を他動的に動かすことで誘発するインピンジメント徴候(impingement sign)が陽性になります。
インピンジメント徴候としては、患者の後側方に立ち、一方の手で肩甲骨を保持してもう一方の手で上肢(回内位)を最大挙上させ、大結節を肩峰前縁に圧迫させて疼痛が誘発されるNeer impingement sign、肩90°前方挙上位・肘90°屈曲位で肩を内旋させ、大結節を烏口肩峰靱帯および烏口突起に圧迫させて疼痛が誘発されるHawkins impingement signがあります。
さらには局所麻酔薬の肩峰下滑液包内注入により、注射前には陽性だったインピンジメント徴候が陰性化する(インピンジメントテスト陽性)ことも特徴的な所見です。
画像診断
次に、肩峰下インピンジメント症候群の画像所見です。
単純X線では、肩峰下に骨棘を認め、上腕骨大結節がインピンジメントにより骨硬化した所見を認めます。
CT、特に3D-CTで見ると非常にわかりやすくなります。
腱板炎の場合には、MRIで棘上筋腱の肥厚を認めます。
治療
最後に肩峰下インピンジメント症候群の治療について少しだけお話しします。
まずはNSAIDs内服が一般的ですが、あまり効かないことが多いです。
このような場合には、副腎皮質ステロイドの肩峰下滑液包内注入を行います。
副腎皮質ステロイドの肩峰下滑液包内注入を数回繰り返しても症状が続く場合には、手術的な治療として肩峰下除圧術を考慮する必要が出てきます。
近年ではこの術式は鏡視下に行われることが多く、鏡視下肩峰形成術とも言われます。
本気でスポーツ医学と運動器診療を学びたい人のために!
- どこにいても(都会でも地方でも)
- 誰でも(医師・理学療法士・鍼灸師・柔道整復師・トレーナー・学生などスポーツに関わる全ての人)
- いつでも(24時間)
利用可能なスポーツセミナー動画配信サービス!!
1週間1円トライアル実施中!!