「アキレス腱縫合の文献的考察」③Cross-stich法とそのやり方

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どうも、こんにちは。

今日は、アキレス腱断裂シリーズです。
アキレス腱断裂に対する縫合術に関する文献的考察の続きをやっていきます。
今回は補助縫合の1つであるCross-stich法の歴史と実際のやり方についてまとめます。

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はじめに

今までまとめたアキレス腱断裂に対する一般的な知識のまとめに関してはこちらから確認してください。

関連記事:「アキレス腱断裂」①解剖・疫学(おまけ:アキレス腱の命名)
関連記事:「アキレス腱断裂」②診察・診断・スポーツ現場での対応・治療
関連記事:「アキレス腱断裂」③リハビリ・リコンディショニング・再発予防

その後、アキレス腱断裂に対する縫合術によって、保存療法と比較して早期運動療法が可能になれば手術療法のメリットがより大きくなることをご説明しました。

関連記事:「アキレス腱縫合術に対する文献的考察」①総論

では、どうすれば強力な縫合張力を得ることができるのでしょうか。
ずばりポイントは、

主縫合のstrandを多くする。
特別な縫合方法や縫合糸の種類を工夫する。
主縫合に加えて、epotenon縫合を補助縫合として行う。

ことなどが挙げらるのでした。
( Hirpara K, et al. J Bone Joint Surg. 2007 )
( Lee S, et al. Foot Ankle Int. 2008 )

この中の①②については、下の記事でまとめましたね。

関連記事:「アキレス腱縫合術に対する文献的考察」②主縫合と縫合糸の選択

というわけで、最後に残りの③について文献的考察をしていきます。
その前にCross-stich法の説明だけしておきたいので、今回はCross-stich法の歴史と実際のやり方についてまとめます。

Cross-stich法の歴史

Cross-stich法は、1993年にSilfverskioldらが考案した手指屈筋腱断裂に対するepitenon縫合法であり、
( Silfverskiold KL, et al. J Hand Surg. 1993 )
実験的に6−0糸のCross-stich法は4−0糸のKessler変法と6−0糸の連続周囲縫合の併用縫合より有意に破断張力が大きく初期のgap形成も少なかったとし、臨床的にもCross-stich縫合術後の早期運動療法の有用性が報告されています。

その後、KimらやAokiらにより、屈筋腱損傷に対する主縫合と併用するepitenon縫合において、Cross-stich法は連続結節縫合の約2.5倍の破断張力があること、さらにCross-stich法によるepitenon縫合には2-strandの主縫合の中では、Kessler変法が最大の破断張力を有することが示されました。
( Kim PT, et al. J Hand Surg. 1996 )
( Aoki M, et al. Injury. 1996 )

こうしてCross-stich法はepitenon縫合として縫合張力を均等に分配して縫合後の張力を格段に増強させるうえ、腱断裂端を包み込むように安定化させることから、臨床においても早期運動療法を可能にする有用な方法として使用されるようになったのです。

Cross-stich法のやり方

では、実際のCross-stich法のやり方について説明します。
今回も図で説明します。

Cross-stich法
図:(左)simple version (右)Overlapping version
( 吉川泰弘,須田康文.MB Orthop. 2009を参考に作成 )

上図の左が本来のCross-stich法のsimple versionです。
表層の腱線維に幅5mm深さ2〜3mm程度でパラテノン上から糸をかけ、腱の裏側はできる範囲で2〜3回糸をかけ、全部で10往復以上の糸を書けるようにします。

そして、上図の右が、Overlapping versionです。
こちらは腱健常部に糸をかけるため、主縫合の腱把持部をまたぐこともあります。
Overlapping versionの方がより強固な縫合になります。

図を見て、一度やってみるとすぐに覚えられるでしょう。

おわりに

今日は、アキレス腱断裂に対する補助縫合の1つであるCross-stich法について、その歴史と実際のやり方を説明しました。

次回、アキレス腱断裂に対してこれをどう応用していくか、また実際の臨床成績がどうであるのかについてまとめる予定です。

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