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膝複合靭帯損傷のSchenck’s分類|十字靭帯損傷を主眼においた膝関節脱臼の分類

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

よせやん

本日は膝複合靭帯損傷についてです。

今までに、膝複合靭帯損傷におけるMCL損傷、ACL・PCL損傷の手術適応や手術のタイミング、後療法についてまとめてきました。

 

本日は、膝複合靭帯損傷の分類についてお話しします。

膝複合靭帯損傷の分類はいくつかありますが、この記事ではその中でもSchenck’s分類について紹介します。

Contents

膝複合靭帯損傷の治療の大原則

まず、膝複合靭帯損傷の治療の大原則について復習しておきましょう。

 

膝複合靭帯損傷の治療の大原則は、

最小限の観血治療回数、最小限の移植靭帯の犠牲、最小限の治療期間、軟骨変性を伴わない靭帯機能の構築であり、最終的に拘縮膝を作らないこと

でした。

 

特に新鮮例の靭帯損傷では、治癒能力が高い反面、関節拘縮を起こしやすいと言われています。

観血治療によりいったん拘縮が起こると治療期間の延長だけでなく、その後の後療法により膝の変形性変化を誘発し、満足な結果が得られなくなってしまいます。

したがって、拘縮膝を作らないように、どの靭帯をどこまで治すのか、どの靭帯は後回しでよいのかを常に考えながら治療に当たらなければなりません

 

この前提を知っておいた上で、今回は膝複合靭帯損傷の分類について勉強していきましょう。

よせやん

Schenck’s分類

今回は膝複合靭帯損傷のSchenck’s分類について紹介します。

 

膝複合靭帯損傷の分類はいくつかありますが、これは2004年にSchenckが報告したもので、十字靭帯損傷を主眼においた分類になります。

Schenck’分類

サブクラス

損傷靭帯

頻度(%)

KD-Ⅰ

 

脱臼+ACLまたはPCL損傷

6

KD-Ⅱ

 

脱臼+ACL・PCL損傷

5

KD-Ⅲ

 

脱臼+ACL・PCL損傷+MCLまたはPLC損傷

23

KD-Ⅳ

 

脱臼+ACL・PCL損傷+MCL・PLC損傷

17

KD-Ⅴ

KD-V1

脱臼骨折のみ

8

 

KD-V2

脱臼骨折+ACL・PCL損傷

1

 

KD-V3

脱臼骨折+ACL・PCL損傷+MCL損傷

4

 

KD-V4

脱臼骨折+ACL・PCL損傷+PLC損傷

1

 

KD-V5

脱臼骨折+ACL・PCL損傷+MCL損傷+PLC損傷

35

 

Schenck’分類は、大きくKD-Ⅰ〜KD-Ⅴの5段階に分かれます。

KD-Ⅰ〜KD-Ⅳは、脱臼のみで骨折を伴わないものです。

  • KD-ⅠはACLもしくはPCL損傷を伴う脱臼
  • KD-Ⅱは両十字靭帯損傷を伴う脱臼
  • KD-Ⅲは内側あるいは後外側支持組織損傷に両十字靭帯損傷を伴う脱臼
  • KD-Ⅳは内側あるいは後外側支持組織損傷に両十字靭帯損傷を伴う脱臼

 

これに対し、KD-Ⅴは脱臼骨折を認めるものです。

KD-Ⅴはさらに5つに分類されます。

  • KD-V1は十字靭帯損傷を伴わない脱臼骨折
  • KD-V2は両十字靭帯損傷を伴う脱臼骨折
  • KD-V3は内側支持組織損傷に両十字靭帯損傷を伴う脱臼骨折
  • KD-V4は後外側支持組織損傷に両十字靭帯損傷を伴う脱臼骨折
  • KD-V5は内側支持組織損傷と後外側支持組織損傷に両十字靭帯損傷を伴う脱臼骨折

 

メリット・デメリット

上述した通り、Schenck’分類は十字靭帯損傷を主眼においた分類であるため、十字靭帯損傷を主眼においた治療方針の決定に関しては有用です。

しかし、内側あるいは外側支持組織損傷を有しない前方脱臼や後方脱臼は分類不能となってしまうという欠点があります。

 

Schenck'分類のメリット・デメリット

メリット

  • 十字靭帯損傷を主眼においた治療方針の決定に関して有用

デメリット

  • 内側あるいは外側支持組織損傷を有しない前方脱臼や後方脱臼は分類不能

 

頻度

頻度としては、内側支持組織損傷と後外側支持組織損傷に両十字靭帯損傷を伴う脱臼骨折であるKD-V5が35%と最も多くなっています。

これは、前後方向・内外側の支持機構が全て破綻し脱臼骨折を伴うものですから、膝関節脱臼の多くは本当に高エネルギーの外傷によって起こるものであることがよくわかりますね。

 

高エネルギー外傷については下の記事を参考にしてください。

 

また、内側あるいは後外側支持組織損傷に両十字靭帯損傷を伴う脱臼であるKD-Ⅲも23%と多いです。

臨床では、特にACL・PCL損傷にMCL損傷を合併するものが多い印象です。

 

あくまで若手整形外科医の僕の印象ですが、ご参考までに。

よせやん

おわりに

以上、今回は複合靭帯損傷の分類としてSchenck’s分類について紹介しました。

 

次回はこれ以外の複合靭帯損傷の分類について紹介します。

複合靭帯損傷の分類についてまとめた後は、複合靭帯損傷のメカニズムについてまとめる予定です。

 

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