サッカー日本代表チームドクターを目指す整形外科医のブログ

目指せスポーツドクター

カテゴリー

検索

twitterフォロワー1700人突破!ツイートもチェック!

膝複合靭帯損傷における前・後十字靱帯(ACL・PCL)損傷の治療|手術適応・タイミング

WRITER
 
Sponsored Link
Sponsored Link
この記事を書いている人 - WRITER -
サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
詳しいプロフィールはこちら

どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

本日は膝複合靭帯損傷における前・後十字靱帯(ACL・PCL)損傷に対する治療についてまとめます。

膝に興味がある方は複合靭帯損傷の治療については非常に興味があるところだと思います。前回は膝複合靭帯損傷におけるMCL損傷の治療についてまとめました。

この記事では、膝複合靭帯損傷におけるACL損傷・PCL損傷の治療として、手術適応・手術のタイミングについて勉強して頂けたらと思います。

膝複合靭帯損傷の治療の大原則

まず、膝複合靭帯損傷の治療の大原則について復習しておきましょう。

膝複合靭帯損傷の治療の大原則は、

最小限の観血治療回数、最小限の移植靭帯の犠牲、最小限の治療期間、軟骨変性を伴わない靭帯機能の構築であり、最終的に拘縮膝を作らないこと

でした。

特に新鮮例の靭帯損傷では、治癒能力が高い反面、関節拘縮を起こしやすいと言われています。

観血治療によりいったん拘縮が起こると治療期間の延長だけでなく、その後の後療法により膝の変形性変化を誘発し、満足な結果が得られなくなってしまいます。

したがって、拘縮膝を作らないように、どの靭帯をどこまで治すのか、どの靭帯は後回しでよいのかを常に考えながら治療に当たらなければなりません。この前提を知っておいた上で、今回は膝複合靭帯損傷におけるACL損傷・PCL損傷の治療について勉強していきましょう。

手術適応

まず、手術適応についてです。

新鮮例でも陳旧例でも、可動域が回復していることが最低条件です。

何をおいてもここをクリアしないと手術の適応はありません。

また、もう1つの条件として、膝関節の前後動揺性を定量化するKT-1000を利用して、膝関節屈曲20度および70度の肢位で前後方向合計移動量を測定し、どちらの肢位でも患健側差6mm以上であることが挙げられます。(越智光夫. 膝靭帯手術のすべて. MEDICAL VIEW社. 2013)

膝伸展位付近の緩みは、PCL不全の緩みが関与していることもあり、KT-1000の値だけでなく、MRIや徒手検査を加えて総合的にACLの緩みの程度をチェックする必要があります。

PCL再建術の適応に迷う場合は、階段昇降時の不安定感の程度や、脛骨前方ストレス下(saggingを除去した状態)での膝自動運動による膝蓋大腿関節部痛の改善の有無は適応決定の一助となります。

ただし、PCL再建術では深屈曲を必要とするスポーツ選手(柔道・レスリング・相撲)や、しゃがみこみを必要とする労働従事者には、術後に膝屈曲角度が悪くなる場合があることを事前に説明しておく必要があるでしょう。

年齢に関する適応は特にありませんので、患者さんにactivityに応じて高齢でも手術を行う場合もあります。

また、ACL・PCLの再建を行う前にMCLの一次修復を行っている場合は、その麻酔がかかった状態で透視下に前方引き出し、後方引き出し、Lachman testを行うと、目で見てACL不全・PCL不全が判断できるので非常に有用だと思います。

タイミング

続いて、手術を行う場合のタイミングについてです。

新鮮ACL損傷・PCL損傷の手術時期は、骨片付きの場合を除き、側副靭帯の治療を優先し、膝の可動域が改善する少なくとも4週以降と考えられます。

先ほど、手術適応のところで述べたように膝の可動域が改善していることが手術をするための最低条件になるため、可動域の獲得が得られていない場合は3ヶ月程度待たなければならない時があります。

ACL・PCL・MCL損傷で脱臼を伴う重度の複合靭帯損傷では、早期にACL・PCLの同時再建と内・外側支持機構の一次縫合を二期的に行うことも勧める報告もありますが、鏡視下に行っても授動術の頻度は9〜14%と言われています。(Mariani PP, et al. Arthroscopy. 2001)(Harner CD, et al. J Bone Joint Surg. 2004)

関節切開に比べれば、臨床成績は向上していますが、拘縮膝を作る可能性は十分にあるのです。

拘縮をきたした場合は、非観血的もしくは観血的関節授動術を施行しなくてはいけない可能性が出てきます。

2000年に入ってからは二期的に手術を行う報告が大勢を占めています。二期的手術は急性期に一期的に行う手術より、可動域や主観的評価が良好であると報告されています。(Mook WR, et al. J Bone Joint Surg. 2009)

二期的手術には、第1に膝の軸となるPCLを急性期もしくは亜急性期に再建し、後日ACLを含む側副靭帯を治療する方法(Ohkoshi Y, et al. Clin Orthop Relat Res. 2002)、第2に内・外側支持機構の治療を優先し、後日ACLとPCLを同時再建する方法(Bin SI, Nam TS. Arthroscopy. 2007)(Fanelli GC, et al. Arthroscopy. 2005)があります。

ただし、どちらの方法が良好であるか現時点ではまだcontroversial(議論の余地がある)だと言えるでしょう。

おわりに

以上、今回は膝複合靭帯損傷における前十字靭帯(ACL)損傷に対する治療についてお話ししました。

膝関節外科に興味がある先生にとっては非常におもしろいトピックだと思います。

また、膝複合靭帯損傷のメカニズムなんかについても今度まとめてみます。

この記事を書いている人 - WRITER -
サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


Copyright© 目指せスポーツドクター , 2018 All Rights Reserved.