腰椎分離症の病期分類とスポーツ復帰までの期間、治療戦略を紹介!
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
今日は大学のサッカー部の追いコンで、午後からはサッカーの試合をしてきました。今年の卒業生は僕が5年生のときの1年生ですね。時間が経つのは早いなぁと思います。
さて、では昨日の続きで腰椎分離症についてやっていきましょう。
前回は腰椎分離症とはどんな病気なのか?また、その症状・画像診断について解説しました。
今回は、病期分類、スポーツ復帰までの期間・治療に関してまとめています。
腰椎分離症では、その病期により予後が把握でき、それによってスポーツ復帰までの期間や治療方針が変わってきます。
そのため、まずしっかりと病期分類をすることが大切です。
よせやん
この記事で、CT、MRIを用いた病期分類をしっかりと理解しておきましょう。
Contents
病期分類
では、さっそく見ていきましょう。
腰椎分離症は、単純X線像ないしCT像(図1)により以下のように分類されます。
- 初期
関節突起部が不規則なヘアラインあるいは透亮像を呈する。 - 進行期
亀裂が明瞭化する。 - 終末期
偽関節様の骨硬化像を呈する。
文章だとわかりにくいと思いますので、実際の画像を見てみましょう。
図1:CT像による病期分類
MRIを用いた予後予測
上記の病期分類において、保存療法で骨癒合が得られる可能性があるのは初期と進行期です。
よって、腰椎分離症と診断した場合には、必ずMRIで評価することが重要です。
図2:MRI T2強調像(椎弓根部で高輝度変化を示している)
分離部に骨癒合が得られなかったとしても、基本的には予後良好であり、必ずしも腰痛の発生やスポーツ活動の制限につながるわけではありません。
ただし、将来的に腰椎すべり症となり、腰椎を生じたり、下肢の神経症状が出現する可能性は知っておいた方がよいでしょう。
治療とスポーツ復帰までの期間
では具体的な治療方法を確認していきましょう。
骨癒合が望める症例
MRIのT2強調像で高輝度変化を認める症例に対しては、骨癒合を目指すため治療を行います。
具体的には、体幹装具(コルセット)の装着と、最低3ヶ月のスポーツ活動の休止を指示します。
3〜6ヶ月後に再度CT検査を行い、その所見に応じて対応します。
具体的には以下の如くです。
まず、3ヶ月間のスポーツ活動の休止・コルセット装着
3ヶ月後にCT再検
- 骨癒合が得られている
→ストレッチング指導、スポーツ復帰 - 部分的骨癒合があり、完全な骨癒合が期待できる
→治療を継続し、3ヶ月後にCT再検
さらに3ヶ月後にCT再検
- 骨癒合が得られている
→ストレッチング指導、スポーツ復帰 - 分離が残存している
→骨癒合の可能性がないと判断
→ストレッチング指導、スポーツ復帰
骨癒合が望めない症例
MRIのT2強調像で高輝度変化を認めない症例、成人(大学生以上)の症例に対しては、上述の通り対症療法を行います。
具体的には、薬物療法やリハビリテーション、分離部ブロック、伸展を制限する体幹装具などによる保存的な疼痛管理が主体となります。
このように疼痛コンロトールを行いながら、スポーツ復帰を目指します。
多くの場合は、対症療法にて競技可能な程度にコントロール可能ですが、保存療法に抵抗しスポーツ活動や日常生活に著しい支障をきたす場合は手術治療を考慮する必要があります。
手術療法は、腰痛のみの症例では分離部修復術(偽関節手術)が、下肢痛が主体の症例では分離部除圧術が適応となります。
そして、高度の不安定性やすべりを伴う症例では椎間固定術が選択されます。
おわりに
以上、今回は腰椎分離症の病期分類、スポーツ復帰までの期間・治療に関してまとめました。
腰椎分離症では、その病期により予後が把握でき、それによってスポーツ復帰までの期間や治療方針が変わってきます。
そのため、まずしっかりと病期分類をすることが大切です。
よせやん
この記事で、CT、MRIを用いた病期分類をしっかりと理解しておきましょう。
次回、保存的に治療する場合のリハビリテーションや予防方法、そして、スポーツ現場での対応についてまとめる予定です。
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