アキレス腱縫合手術①|術式を選択する上でのポイント
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
今日は朝から日本整形外科学会サッカー大会がありました。
こんな時間に起きたのはいつ以来だ?ってくらい早い時間に起きて、レンタカーでみんなで会場まで向かいました。
結果は…
いろいろと話したいところですが、結果を書いてしまうと管理人の所属医局がバレてしまう可能性があるので、個人的な結果は伏せておきます。
5月15日の決勝戦が終わった後にでも結果のみアップしようかと思います。
さて、今日は先日までまとめてきたアキレス腱断裂ついてです。
今回、いろいろと文献を集めて勉強したので、せっかくなのでまとめておこうと思います。
というわけで、アキレス腱縫合術における術式を選択する上でのポイントについてお話しします。
Contents
はじめに
アキレス腱断裂の原因の約60〜80%はレクリエーションレベルを中心としたスポーツ外傷であり、中でも球技やラケット競技での受傷が多いとされています。( アキレス腱断裂診療ガイドライン.南江堂.2007 )
年齢では30〜40歳代に好発することもあり、日常生活や仕事への早期復帰に続いて、スポーツへの早期復帰の要望は強いと言えるでしょう。
新鮮アキレス腱断裂に対する保存療法の有用性は報告されていますが、( 林光俊ら.Jpn J Sports Sci. 1996 )
一般的にギプスあるいは硬性装具による固定期間が7〜10週間と長期を要するうえ、両松葉杖歩行を脱して独歩(何も使わないで歩ける)となるまでに4週間以上を要するので患者さんの負担は少なくありません。
よせやん
一方、手術療法では腱縫合術により保存方法と比較して再断裂の発生は少ないとされていますが、( Moller M, et al. Scand J Med Sci Sports. 2002 )
従来の縫合法では術後3〜4週間のギプス固定を行い、結局全荷重歩行までに4週間以上を要するのであれば、手術療法のメリットはあまりないとも言えるかもしれません。
そこで、早期運動療法を可能にするために、様々な強力な縫合張力を有する縫合方法がいろいろと試行されてきました。
アキレス腱縫合術
アキレス腱は体内で最大の張力がかかる腱であり、歩行時のアキレス腱には足関節が中間位に固定されている状態で370N、普通の歩行では1500Nもの張力がかかります。( Lee S, et al. Foot Ankle Int. 2008 )
そのため、アキレス腱断裂に対する治療では、まず十分な抗張力が得られる方法を選択する必要があり、その意味で観血的縫合術が最も一般的な治療法として行われてきました。( アキレス腱断裂診療ガイドライン.南江堂.2007 )
現在も行われている従来の縫合方法としては、Bunnell法、Kessler法、Kirschmayer法などがありますが、いずれも2−strandであり主縫合として単独で使用するには縫合強度は不十分である可能性があります。
strandの意味がわからない方はこちらの記事で確認してください。
また、補助縫合としては単純な結節縫合が行われてきましたが、腱断端同士の縫合では腱線維の適合をよくする意味はありますが、縫合張力の増強にはほとんど役に立ちません。
そのため、
そこで、早期運動療法を可能にするために、様々な強力な縫合張力を有する縫合方法が試行されてたわけです。
よせやん
術式選択のポイント
最初に、アキレス腱断裂に対するアキレス腱縫合術において、縫合強度をより増加させるポイントについて述べておきます。
ずばりポイントは、
- 主縫合のstrandを多くする
- 特別な縫合方法や縫合糸の種類を工夫する
- 主縫合に加えて補助縫合を追加する
ことなどが挙げられます。
( Hirpara K, et al. J Bone Joint Surg. 2007 )
( Lee S, et al. Foot Ankle Int. 2008 )
おわりに
以上、今回はアキレス腱縫合術における術式を選択する上でのポイントについてお話ししました。
というわけで、早期運動療法を可能にするために、どうすれば強力な縫合張力を得ることができるのかということに着目して、次回から主縫合と補助縫合に分けて文献的考察を続けていきます。
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