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手指PIP関節側副靱帯損傷|少なくない手のスポーツ外傷ですが軽視することなかれ!!

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

よせやん

本日はスポーツでは比較的発生頻度の高い手の外傷である手指PIP関節の側副靱帯損傷についてお話ししようと思います。

 

僕が膝と足の専門であることもあり、今まではひたすらに下肢のスポーツ外傷・障害についてまとめてきました。

ですが、別に上肢を診ないわけではありません。笑

 

上肢についてもまとめて欲しい方もいるでしょうから、上肢の解剖やスポーツ外傷・障害についても今後まとめていこうと思います。

Contents

手指PIP関節の解剖

まず、さらっと解剖について勉強しておきましょう。

 

 

 

IP関節のIPとはinterphalangeal jointの略で、IP関節は日本語では指節間関節と言います。

英語で遠位はdistal近位はproximalと言いますので、DIP関節は遠位指節間関節、PIP関節は近位指節間関節と言います。

近位とは体幹から近い方、遠位とは体幹から遠い方のことを意味しますから、DIP関節は体幹から遠い方の指節間関節、PIP関節は体幹に近い方の指節間関節という意味になります。

 

指骨の掌側の関節面は、掌側靱帯と呼ばれる線維軟骨板(掌側板)によって近位方向に膨らんでいます。

また、掌側靱帯はこの部位で指の腱鞘の床を構成しています。

 

手指の側副靱帯は、近位の指節骨頭の側面にあるくぼみから遠位の指節骨底に至る線維束で、指節の屈指運動の支点となっています。

側副靱帯は中手骨頭から基節骨に向かって扇状に広がり、指を伸ばす時は緩み、指を曲げる時には緊張するので、屈曲時には内・外転は阻止されます。

 

例えば、挙を握る時には、指を外転、すなわち側方にひろげることはできないようになっています。

よせやん

手指PIP関節側副靱帯損傷

手指PIP関節側副靱帯損傷は、球技やコンタクトスポーツで指に側方からのストレスが加わって生じ、尺側3指に多く(小指>環指>中指)、橈側の側副靭帯が多い(尺側側副靱帯損傷の5〜8倍)とされているスポーツで比較的発生頻度の高い外傷です。

 

しかしながら、「突き指」や「捻挫」として軽視されることが少なくなく、後に疼痛や関節不安定性が残ったり、適切な固定がなされないとPIP関節の拘縮をきたして、治療に難渋することになるので注意が必要です。

 

症状・検査

局所の腫脹圧痛およびPIP関節の側方動揺性にて診断します。

無麻酔でストレスをかけて側方動揺性を調べるのは患者さんの侵襲が大きいので、指ブロックをした上で透視下に評価するのがよいでしょう。

 

側副靱帯単独損傷であれば関節開大度15°以下ですが、副靱帯、掌側板損傷も合併すると20°以上になると言われています。

また、脱臼骨折との鑑別や小骨片の存在を評価するためにレントゲン撮影は必須です。

 

治療

側方動揺性により治療方法を考える必要があります。

側方動揺性と治療
  • 20°未満:保存療法
  • 20〜30°:手術療法を検討
  • 30°以上:手術療法

 

保存療法では、腫脹が軽減するまでPIP関節伸展位にてアルミ副子固定を行い、その後、隣指とのバディ固定(buddy taping)にて自動ROM運動を許可します。

PIP関節の拘縮は、手指を使うスポーツでは致命的であり、関節固定は可能な限り短期間とし、buddy tapingやbuddy splitによる早期の自動ROM訓練が重要です。

 

20°以上の不安定性を示す場合には、側副靱帯だけでなく副靱帯や掌側板も合併損傷している可能性が高いため、手術療法として側副靱帯縫合術(靱帯をアンカーでとめる)を検討する必要があります。

アスリートの場合には治療期間を短縮させるために手術加療を勧めます。

手術を行った場合、手を使う競技であれば術後2ヶ月程度が復帰の目安となるでしょう。

 

しかし、患者がアスリートでなければ、まず保存療法を行い、不安定性が残存したら手術療法を行うのでもよいでしょう。

ただし、手術は受傷から遅くとも2ヶ月以内くらいでないと靱帯が短縮して縫合することができず、再建術が必要になってしまう可能性があります。

 

おわりに

以上、今回は手指PIP関節の側副靱帯損傷についてまとめました。

 

実臨床では、このような外傷は接骨院で柔道整復師の先生に治療して頂くことも多いかと思います。

その場合はバディ固定で保存療法を選択されるのだと思います。

 

しかし、上で述べたように裂離骨折が生じている場合もあるので、一度整形外科でレントゲンだけは撮っておいた方がいいのかもしれません。

ただし、整形外科で長期間の外固定をしてPIP関節の拘縮をきたした場合には、のちの治療に非常に難渋する結果となってしまうこともあり得ます。

 

医療関係者はどんな職業であれしっかりと勉強することが肝要であるということだけは間違いないでしょう。

よせやん

 

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