MTP関節の痛みの原因となる足の外科疾患のフライバーグ(Freiberg)病の症状から治療まで詳しく解説!
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
さて、今日は足の外科の中でも比較的稀な疾患であるFreiberg病に関してまとめていきます。
Friberg病は骨端症の1つとされていますが、たまに外来でも遭遇しますので知っておきましょう。
この記事では、
- Freiber病とは
- 原因
- 症状
- 病期分類
- 治療
について解説していきます。
Contents
Freiberg病とは
1914年にAlfred H. Freibergにより、外傷を伴う第2中足骨頭が圧壊した6症例が初めて報告されました。( Freiberg AH. Surg Gyn Ob. 1914 )
同様の病態は、翌年Kohlerにより骨端症として報告され、本疾患はドイツ語圏を中心に第2Kohler病と呼ばれてきましたが、近年では最初の報告者の名前をとりFreiberg病と呼ばれることが多くなっています。
ちなみに第2Kohler病は足の舟状骨に生じる骨端症ですね。
骨壊死と骨端症について理解できていない方は下の記事で復習してみてください。
本症例は10代の女性に多く発症し、そのほとんどが第2中足骨頭に生じます。
男性と女性の比は1 : 5であり、ほぼ片足に発症し、両側例は10%以下の発生率であると報告されています。( Katcherian DA. Orthop Clin North Am. 1994 )
原因
Freiberg病の発症機転は以下のような影響が示唆されています。
- 解剖学的に第2中足骨が長いことなどの形態的な特徴
- MTP関節の伸展により、基節骨基部の中足骨骨頭背側部への圧迫が繰り返されるメカニカルストレス
- 中足骨頭への血行障害
( Braddock GT. J Bone Joint Surg. 1979 )
症状
初発時は前足部のMTP関節部を中心に軽度の発赤、圧痛、腫脹がみられ、歩行時の踏み返し時に痛みを訴えます。荷重と運動により痛みが増強しますが、数日の安静により自然消退する場合は多いと言われています。しかし、スポーツ活動、長時間の歩行、特にハイヒールなどを使用し続けると痛みが再発します。
経過とともに中足骨骨頭の関節症性変化が進むと、変形した骨頭を触知できるようになります。( 田中康仁,北田力.足の臨床.2012)
上記のような症状がありましたら、整形外科を受診することをお勧めします。
病期分類
Freiberg病の病期分類としては単純X線像による分類であるSmillie分類(下図)が主に用いられています。
(平野貴章.小児足趾障害Freiberg病.2013より引用)
ただし、単純X線像における評価には限界があるため、近年ではCTやMRIによる評価と合わせて病期の診断および治療法の選択をすべきと考えられています。
治療法
単純X線像において、関節面が比較的保たれているSmillie分類StageⅠ、Ⅱに対してはまず保存療法を行うことが多いです。
保存療法としては、シーネやギプスによる外固定、免荷だけでなく、中足骨パッドや足底装具による罹患関節への負荷の減少などが挙げられます。
ただし、Freiberg病は完治させることが難しい疾患として知られています。
また、
Smillie分類Ⅰ、Ⅱにおいても疼痛や可動域制限などの障害が残存する保存療法抵抗例やSmillie分類Ⅲ以上の症例においては手術療法を検討します。
Freiberg病の手術療法としては、デブリドマンやドリリング、中足骨骨切り術、切除形成術、自家骨骨軟骨移植、人工関節置換術などが報告されています。
最新のFreiberg病の治療に関するレビューの文献では以下のように言われています。
(Valerie L, Schade : Foot & Ankle. 2015を参考にして作成)
10月に参加した足の外科学会では自家骨骨軟骨移植術に大腿骨の関節軟骨ではなく、距骨の関節軟骨を移植した症例報告などもありました。
おわりに
以上、本日はFreiberg病に関してまとめてみました。
また、時間があるときに実際のFreiberg病の症例を提示したいと思います。
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