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膝内側側副靭帯(MCL)損傷|MCLの解剖とMCL損傷の症状・診断

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

今日は病院の関係の方々とフットサルの蹴り納めの大会に出てました。明日は高校の同窓会でフットサル、明後日は地元の友達とフットサルと年末はフットサル三昧です。

今日大会があった会場は、以前僕が大きな怪我をしたときの会場でした。

その怪我とは…

膝内側側副靭帯損傷です。

脛骨側からの引き抜き損傷だったので手術加療まで受けています。さらに復帰後に、今度は大腿骨側を損傷し、保存加療にて治癒しています…。

というわけで、今日は膝内側側副靭帯損傷に典型的な大腿骨側の損傷について勉強していきます。

Contents

膝内側側副靭帯

なぜ膝と付いているかというと、内側側副靭帯(Medial Collateral Ligament:MCL)は肘など膝以外の部位にも存在するからです。

最初に解剖を確認しておきましょう。

内側側副靭帯 解剖
図:船戸和弥のホームページ(相互リンク)より引用

上図のように、MCLは内側半月の表層に接して、関節包を補強する幅の広い薄い靱帯で、大腿骨内側顆脛骨の内側顆を結んでいます。

外側側副靱帯とともに蝶番関節に特徴的な縦走靱帯ですが、膝を伸ばした状態では緊張して関節の小手に役立ち、膝をまげた状態では弛緩して、下腿の回旋を可能にしています。

MCL損傷は、そのほとんどが大腿骨側の損傷(大腿骨付着部からの剥がれてしまう損傷)であり、脛骨側の損傷(脛骨付着部からの引き抜き損傷)は頻度が少ないとされています。( Phisitkul P, et al. Iowa Orthop J. 2006)

そのため、教科書によっては(ネットの情報もですが)脛骨側の損傷のことに触れていないことも多いです。

ただし、

脛骨側の損傷は手術が必要になる可能性が高く、必ず知っておかなくてはいけない知識です。

こちらに関しては後日まとめます。

サッカーとMCL損傷

MCL損傷は、膝が外反(体の中心軸に対して外側に反っている状態)強制されたときに生じます。

MCL損傷はラグビーやサッカーなどのコンタクトスポーツで多く見られ、サッカーでは特にボールに絡んだ受傷が多いとされています。

シュートブロックに伸ばした足先にボールが当たり、外反強制が起こる場合や、相手選手とボールを蹴り合い、過度の外反が起こる際に受傷します。

少年 サッカー

僕が受傷したのも、まさに相手選手とボールを蹴り合いをしたときでした。

今思うと、あのとき少しビビって力を抜いてしまったため、相手の力で外反強制されてしまったということですね。

また、ボール以外では、ターンやリアクション動作時に、スパイクのポイントが芝にかかり、膝外反位の転倒で受傷する場合もあります。

接触型では、外側後方から下腿へのタックルにより受傷し、この場合、重症例が多いとされています。

福林らのJリーグ選手に対するアンケート調査によると、MCL損傷のうち82%が接触プレーにより発症しており、そのうち23%は明らかなファールプレーによるものであったと報告されています。( 福林徹.成人病と生活習慣病.2002 )

MCL損傷を受傷したサッカー選手はかなり多いと思いますが、有名どころでは、イタリア代表FWジュゼッペ・ロッシ選手、元日本代表の明神智和選手が受傷しています。

症状

膝内側に疼痛、腫脹を認め、屈曲・伸展といった可動時に疼痛が増強します。

疼痛、圧痛はMCLの走行に一致した部位に認めます。

大腿骨側の損傷が多いため、MCLの大腿骨付着部付近の圧痛を確認しましょう。

重症の場合、歩行困難となり、膝関節の不安定感を訴えることもあります。

診断

まず、疼痛部位をよくみることが重要です。

MCLのどの部位に最も強い圧痛点が損沿いするかを判断します。

MCLの大腿骨付着部付近の圧痛を認めることがほとんどですが、稀に脛骨側で損傷することがあるため、脛骨側の圧痛もきちんと確認しておきましょう。

重症度の判定のため、外反動揺性の評価も必要です。

膝伸展位と軽度屈曲位(屈曲30°)で、軽く外反ストレスをかけて疼痛の程度、動揺性の有無を確認します。

疼痛を誘発するため、受傷直後に判定することは困難ですが、あまり強いストレスをかけないようにして判断することが重要です。

MCL 外反ストレステスト
図:外反ストレス検査( Robert C, et al. N Am J Sports Phys Ther. 2008より引用)

重症度は膝伸展位と膝軽度屈曲位での外反ストレスにより、下図のようにⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類されます。

Grade膝伸展位の外反動揺性軽度屈曲位の外反動揺性
Ⅰ度
Ⅱ度
Ⅲ度

MCL損傷の疑いがある場合には、可能ならばMRIを撮影しましょう。

MCLの損傷部位、重症度の参考となります。また、重症の場合、関節内に嵌入したMCLを確認できることがあります。

また、ACL(前十字靭帯)損傷や半月板損傷の合併の有無を判定するという意味でも重要です。

MCL損傷 MRI
図:大腿骨側でのMCL損傷のMRI画像(左:axial 右:coronal)
( Studler U, et al. Skeletal Radiol. 2011より引用)

左の画像では、大腿骨付着部周囲のMCLの非薄化および周囲組織の浮腫性変化を認めます。

右の画像では、大腿骨付着部周囲のMCLの非薄化を認め、その連続性ははっきりと追うことができません。また、脛骨外側にSegond骨折の裂離骨片を認めます。

Segond骨折とは、外側側副靭帯の関節包靭帯の脛骨付着部に生じる裂離骨折のことで、内旋・内反ストレスによるため、ACL損傷はほぼ必発と考えられています。
つまり、MCL損傷に外側側副靭帯損傷およびACL損傷を合併している可能性があり、複合靱帯損傷のため重症のものがほとんどです。

おわりに

以上、今回は膝内側側副靭帯損傷に典型的な、大腿骨側の損傷について勉強しました。

MCLの解剖、MCL損傷の病態・症状・診断について理解頂けたでしょうか?

今後、治療およびリハビリテーション、そして脛骨側の損傷に関してまとめます。今回、興味をもった方は次回もお楽しみに。

 

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