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肉離れのMRI画像診断|MRIの撮影方法と撮影条件について詳しく解説!

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

今日は昨日に引き続き、肉離れについて情報を追加していきます。

今日は肉離れのMRI画像診断についてのまとめておきます。

 

肉離れにおけるMRIは、診断、重症度分類およびスポーツ復帰を決めていく上で非常に重要な検査です。

そして、きちんとしたMRI画像を得るためには適切な条件で撮影してもらうことが大切になってきます。

 

この記事では、肉離れにおけるMRI画像診断MRIの撮影方法・撮影条件についてまとめています。

参考になれば幸いです。

Contents

肉離れにおけるMRI画像診断

 

MRIはスポーツ外傷の画像診断において最も有用な検査として認識されています。

特に筋・腱・靭帯の損傷では、通常の単純X線検査では描出できないため、これらの損傷を描出可能なMRIは診断価値が極めて高いと言えます。

 

しかしながら、画像診断を専門とする放射線医学分野においては骨軟部のMRIに関する医学書は多数出版されていますが、筋損傷(特に肉離れ)に関する医学書はほとんどありません。

また、肉離れの診断を必要とする医師は、整形外科を主として画像診断そのものを専門とする放射線科医ではない各科のスポーツドクターである場合が圧倒的に多いのが実情です。

 

そして、予想される各障害に適切だと考える撮影条件および断面の設定は、MRIの威力を発揮するための最も重要な行動であると言えます。

というわけで、今日はMRIの撮影条件に関しもお話ししていこうと思います。

肉離れのMRIの撮影方法

筋・腱損傷におけるMRI撮影法の基本は、下の通りです。

受傷した筋・腱のunitに対して長軸方向(縦方向)および短軸方向(横方向)に撮像面を設定して、軸位断(横断面)、冠状断、矢状断の画像を得る。

 

筋および腱の走行は非常に複雑であること、および通常は2次元(2D)撮像によりMRI画像を取得することから、スポーツドクターが診断しやすい画像情報を得るためには、最低でも2方向の撮像断面は必要ですが、可能であれば軸位断(横断面)、冠状断、矢状断の3方向が望ましいと思われます。

 

しかしながら、実際のところは撮像条件・撮影断面が多いと撮影時間が長くなるので、放射線技師さんからは、絞ってほしいと言われるかもしれません。

そのためにも、次にお話しする撮像シークエンスを絞ることが大切です。

肉離れの撮像シークエンス

そもそも、シークエンスとは何か知っていますか?

簡単に言ってしまうと、

シークエンスとは撮影方法のことです。

 

まず一般的な話をしておきます。

通常のMRIにおいて筋組織はT1、T2強調画像で低信号を示します。

 

腱および靭帯は豊富な膠原線維を反映して、T1、T2強調画像で筋組織よりもさらに低信号の構造として描出されます。

損傷した筋・腱・靭帯は、急性期には浮腫性変化により、T1強調画像でより低信号、T2強調画像で高信号を示します

 

では、肉離れの診断において適切なシークエンスについてまとめていきます。

液体貯留や浮腫の検出に感度の高いシークエンス

肉離れの際に生じる液体貯留や浮腫の検出に感度の高いシークエンスは以下の2つです。

液体貯留や浮腫の検出に感度の高いシークエンス
  • STIR(Short tau inversion recovery)
     
  • 脂肪抑制T2強調画像 

 

これらの撮像法は、合併し得る骨折や骨挫傷などの骨損傷に対しても感度が高く、有用であると言えます。

特に、STIRはT2強調画像に加えて、水成分の増加に敏感で、損傷の急性期における浮腫性変化を評価するのに優れています

病変の正確な局在を知るためのシークエンス

続いて、病変の正確な局在を知るために必要な解剖を描出するシークエンスは以下の3つです。

病変の正確な局在を知るためのシークエンス
  • T2*強調画像
     
  • T1強調画像
     
  • プロトン密度強調画像 

 

T2*強調画像は、グラディエントエコー法を用いてT2* の違いを際立たせた画像のことで、画像コントラストはT2強調像に似ていますが、局所磁場の不均一に敏感で血性病変の検出能が高くなっています

ちなみに読み方は「T2スター強調画像」です。

 

プロトン密度強調画像は、T1 とT2 の影響をできるだけ排除し組織内のプロトン量の多少を際立たせた画像のことです。

 

結局のところ、肉離れのMRIにおける最適で最低限な撮影条件および断面についてまとめると、

肉離れのMRIにおける最適で最低限な撮影条件および断面
  • 断面は冠状断、水平断を、可能であれば矢状断
     
  • 浮腫性変化を見るためにSTIR
     
  • 腱の走行・断裂を見るためにT2*強調画像

 

MRI撮影時のポイント

最後に、MRI撮影時のポイントに関してお話しします。

ポイントは以下の2つです。

MRI撮影時のポイント
  • 健側を同時に
     
  • なるべく広範囲に  

 

健側を同時に撮影し、比較することによって微細な病変の発見が容易になります

さらに、可能であれば両側の向きと方向を揃えるとbetterでしょう。

 

また、肉離れでは筋損傷の局在と疼痛部位とにズレを生じることがあるため、撮影範囲を絞りすぎて筋損傷の部位を捉えられていないと、病変部位を見逃すことになります。

このため、なるべく広範囲に撮影しておくことは非常に大切です。

実際には、技師さんにどこからどこまでの部位を撮影したいのかを伝えるのが一番いいようです。

おわりに

以上、今日は肉離れにおけるMRI画像診断MRIの撮影方法・撮影条件についてお話ししました。

 

医師の方は、MRIをテキトーにオーダーして放射線技師さんに任せっきりになっていませんか?

よせやん

きちんと肉離れを診断するためには、適切な条件で撮影してもらうことが非常に大切です。

なぜならば、軽症以上の肉離れのスポーツ復帰時期の目安はMRI画像を元に決めていくことになるからです。

MRI画像による重症度分類やそれに基づいたスポーツ復帰に関しては、また後日まとめていきます。

今回の話は前置きで、これからのところが肉離れの一番大切なところです。

 

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