サッカーとスポーツ傷害|サッカーに多いスポーツ外傷・スポーツ障害とは
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
今日は1日、地方の診療所に検診に行っていました。特に重要な仕事はしていないのですが、空き時間にエコーを自分の体や後輩に当てて遊んでいました。エコーももっともっと使えるようになりたいですね。
さて、昨日はスポーツ傷害に関してまとめました。
日常診療やマッチドクターなどのスポーツ現場では、各競技種目に見合った対応、対処、治療が必要になってきます。
サッカーはゴールキーパー以外は手以外のあらゆる体の部位を使い、ダッシュ、ジャンプ、スライディング、サイドステップ、急激な方向転換、またサッカー特有のキック動作などを相手と繰り返しながらプレーをします。
このような特殊な動作を有するサッカーは、当然ながら他のスポーツと異なる傷害分布の特徴を有します。
今日はその中でもサッカーに特有なスポーツ傷害に関してまとめてみたいと思います。
Contents
サッカーとスポーツ外傷
2011年のJリーグの傷害報告(図1)によると、J1とJ2の試合で復帰までに1週間以上を要した外傷の数は562例であり、そのうち下肢が332例で59.1%を占めています。(池田浩ら. 日本体育協会スポーツ科学研究報告集2011年度 2012)
この内訳は、大腿100例、足関節89例、膝関節68例、下腿44例の順となっています。
大腿では肉離れなどの筋損傷48例と打撲48例でそのほとんどを占めています。足関節では捻挫、靭帯損傷が63例が最も多く、膝関節でも靭帯損傷が31例とその多くを占めていました。
このようにサッカーの外傷は下肢に多いというのは容易に想像できると思いますが、頭頚部の外傷が131例と比較的多く、外傷全体の23.3%を占めており、思っていたより多い結果でした。
しかし、この傾向はこの年だけ特有の結果ではなく、Jリーグができてからの20年間、毎年同じような結果となっているようです。
女子プロサッカーのなでしこリーグでは、2011年の試合中に生じた復帰までに1週間以上を要した外傷は30例が報告されています。
その発生部位は足関節8例、大腿6例、膝関節5例、下腿3例、その他8例という結果で女子サッカーでも当然のことながら外傷の76.7%は下肢に発生していました。
その内訳は、挫傷14例(46.7%)、靭帯損傷11例(36.7%)、骨折2例、肉離れ1例であり、男子に比べて靭帯損傷の発生率が高い結果でした。これは前回の記事にも書きましたが、女子特有の関節弛緩性(Laxity)が関与していると思われます。
フットサルとスポーツ外傷
ついでにフットサルのFリーグの外傷の統計も載っているので見てみましょう。
外傷の報告数は全体で74例で、頭頚部12例、上肢6例、体幹9例、下肢47例でした。
発生部位はサッカーと同様に下肢(63.5%)に多く発生していますが、足部・足趾の割合がその中の17.0%(8例/47例)とサッカーの10.9%(15例/138例)より高くなっているのは、競技特性が出ているのかもしれません。
また内訳をみてみると、挫傷が60%以上を占めており、小さなフィールドで相手選手とのコンタクトプレーが多いため、挫傷の割合が高くなっているものと考えられます。
サッカーとスポーツ障害
サッカーに多いスポーツ障害としては、フットボーラーズアンクル、膝蓋腱炎(小児であればオスグットシュラッター病)、Jones骨折などが有名です。
膝蓋腱炎はウッチーことサッカー日本代表DF内田篤人選手が悩まされていますし、Jones骨折は前回記事にしたようにサッカー日本代表MF清武選手が受傷したことは記憶に新しいですね。
(McMurray TP : J Bone Joint Surg 1950)
(Tol JL, et al.: Am J Sports Med 2002 )
(O’Donoghue DH : J Bone Joint Surg 1957)
フットボーラーズアンクルと膝蓋腱炎に関してはまた、別の機会にしっかりとまとめたいと思います。
おわりに
以上、今回はサッカーとスポーツ傷害に関してまとめてみました。
自分のやっている競技は怪我との関連もイメージできるから面白いですね。
本気でスポーツ医学と運動器診療を学びたい人のために!
- どこにいても(都会でも地方でも)
- 誰でも(医師・理学療法士・鍼灸師・柔道整復師・トレーナー・学生などスポーツに関わる全ての人)
- いつでも(24時間)
利用可能なスポーツセミナー動画配信サービス!!
1週間1円トライアル実施中!!