テーピングを使用する場合のRICE療法の順番|テーピングの有効性を知ろう!
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
今日は社会人サッカーチームの新シーズン初めての練習でした。年末からあまりサッカーしてませんでしたが、意外に体はキレてました。新シーズン開幕に向けて、サッカー、フットサルともにコンディション調整していきます!
あと、3月には日本整形外科学会の大学対抗のサッカー大会の地域予選がありますので、そちらに向けても体を動かしておかないといけません。
さて、今日はテーピングに関してです。
特に、テーピングを使用する場合のRICE療法の順番について考えてみようと思います。
スポーツをする人はいろいろな場面でテーピングのお世話になったことがあることでしょう。
僕も昔から足関節捻挫や肉離れ、膝の靭帯損傷などの「けが」を経験してきましたので、「けが」をしていた時期や復帰して体が戻るまでの時期にはテーピングを使用していました。
さて、そのテーピングについてですが、
テーピングを使用する場合のRICE療法の順番を答えることができますか?
よせやん
今回は、この質問に答えるべくまとめていこうと思います。
Contents
テーピングの原理
まず、最初に大雑把にテーピングについての一般的な知識だけ整理しておきましょう。
テーピングの原理としては、以下の3つが挙げられます。
- 関節を固定して骨格構造を保持すること
- 関節運動を意図的に制限して、その範囲内で運動を行わせようとすること
- 毛細血管からの出血を抑える(救急処置の場合)こと、また運動の際に1カ所に集中 する力を圧迫により分散させ、痛みの緩和を図ること(肉離れなどに対して)
テーピングの目的
次に、テーピングの目的についてです。
テーピングは次の目的で行われます。
- 「けが」の予防
- 救急処置
- 「けが」をした状態でのプレー
- アステチック・リハビリテーション
- 運動フォームの矯正
救急処置とテーピング
救急処置としてテーピングが行われるのは、捻挫・肉離れ・脱臼・骨折などの場合で、捻挫・肉離れにはテーピングによる患部への圧迫と固定が、脱臼・骨折にはテーピングによる患部の固定が行われます。
救急処置のRICE療法を覚えていますか?
覚えていない方はまず、下の記事を確認してください。
一般的に救急処置は、以下の手順で行います。
- 冷却
- 包帯などによる圧迫・固定
- 挙上
- 安静
しかし、運動中の「けが」に対する救急処置では、以下のように順番を変えた方が効果的であるとされています。( 山本郁榮.スポーツ外傷障害からみたテーピングの実技と理論:文光堂.2012)
- テーピングによる圧迫・固定
- 冷却
- 挙上
- 安静
すわなち、テーピングを利用する場合は、手順①と②が逆になっています。
これは以下の理由によります。
スポーツ外傷の中で、多く起こっている足関節の捻挫を例にとると、捻挫した際に生じる患部における内出血の量が少ないと、一般的に治癒までにかかる時間は短縮します。
このため、捻挫した場合は一刻もはやく患部における毛細血管からの内出血を防ぐことが重要です。
よせやん
内出血を防ぐ救急処置としては、患部への圧迫と冷却があります。
まず、圧迫・固定ですが、運動によって心拍数の増加と体温の上昇が起こり、血液の流れが速くなっている患部に対して、テーピングではなく旧来の包帯などを使用する場合、緊縛度が弱く、圧迫・固定の度合いも弱いので内出血防止の効果は小さくなります。
一方、テーピングを使用すると、緊縛度が強く、そのため圧迫・固定の度合いも強いため、内出血防止の効果は大きくなります。
次に冷却ですが、これによる血管の収縮→内出血防止という方法は、効果がでるまでに時間がかかります。
この点、テーピングによる内出血防止は、速効性において、冷却よりもはるかに勝ります。
このことから、最近行われているテーピングをしたうえでの冷却の意義は、「内出血の防止」よりも、「疼痛の緩和」の方が主目的になったと言えます。
このような理由で、運動中の捻挫などの応急処置では、
①テーピングによる圧迫・固定(内出血防止)→②冷却(疼痛の緩和)
という手順で行うことが推奨されています。
参考図書
この記事の参考図書です。
おわりに
今回は、テーピングを使用する場合のRICE療法の順番についてまとめました。
スポーツに関わる方はテーピングを使用する機会も多いと思います。
テーピングのことはしっかり勉強しておきましょう。
よせやん
また、運動中の応急処置を行う場合には、今回勉強したことを活かして、RICE療法の順番も意識して行ってみましょう。
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