女性アスリートに多いスポーツ傷害|靭帯損傷、疲労骨折

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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

夜は勉強会があるため時間がないと思うので、手術までの空き時間で更新したいと思います。忙しい日があることを考えると、ある程度記事の書き溜めをしておいた方がいいのかなぁと思います。1日1記事も正直なかなか大変なんで難しいかもしれませんが。

女性アスリートに多く見られるスポーツ傷害には、鉄欠乏性貧血疲労骨折膝前十字靭帯損傷があるのでした。この中の鉄欠乏性貧血に関しては以前まとめましたね。

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しかし、これらの原因と成り得る女性アスリートの3主徴として「利用可能エネルギー量」「運動性無月経」「骨粗鬆症」があり、これらはお互いに関連しています。こちらの関しても知っておいて頂く必要があります。

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今回は女性アスリートに多く見られる靭帯損傷と疲労骨折に関してまとめていきます。

疲労骨折

女性アスリートの3主徴としては利用可能エネルギー不足、運動性無月経、骨粗鬆症があるのでしたね。

運動性無月経が続くとエストロゲンが低下しになる危険性が高まるのでした。骨粗鬆症になると、当然、疲労骨折を発症するリスクは高くなります。

国立スポーツ科学センター(JISS)を受診した女性アスリートの239名の中では、10代の女性アスリートの疲労骨折の発症率が高く、下図のように正常月経のアスリートに比べると、無月経のアスリートの方が疲労骨折の発症率が高いことが報告されています。
(能瀬ら:日本臨床スポーツ医学会誌 2014 )

疲労骨折

さらに、血中のエストロゲン濃度が20pg/ml以下のアスリートにおいて疲労骨折のリスクが高いことも明らかにされています。

女子の成長曲線

ちなみに、下図は女性の加齢による骨量の変化を示したものです。

女性 骨塩量

女性は11〜14歳で骨密度の年間増加率が最も大きく、20歳頃に骨量のピークを迎えます。

この時期は最大骨量を獲得するためには、十分なカルシウムの摂取、適切な運動負荷、正常なエストロゲンの分泌が大切です。そして、ピークに達した骨量は図のごとく加齢とともに減っていきます。

したがって、

女性アスリートは、思春期から20代において、正常な周期の月経を維持し、高い骨量を維持することが極めて重要です。

靭帯損傷

女性アスリートでは靭帯損傷の頻度が高いといわれていますが、特に膝前十字靭帯(ACL)損傷の頻度が高いことが知られています。

下図をみると、女性は男性に比してかなりACL損傷の頻度が高いことがわかると思います。女性は男性よりも関節弛緩性が高いため、ACL発症のリスクが高いといわれているのです。


ACL( 内山英司 臨床スポーツ医学 2003 )

そして、そのピークは16〜17歳にあります。一方、疲労骨折のピークは16歳といわれています。

ただし、前回勉強したように、利用可能エネルギー量が少ないと月経未初来者の割合が高いことが知れられており、月経がない=閉経後の女性と同じホルモン状態なので、骨粗鬆症の割合が高くなるのでしたね。

またその場合、実年齢は16歳であったとしても、成長障害により発育年齢はより若年となります

一般的に小児のスポーツ傷害としては骨折が最も多く、成人の場合は靭帯損傷が多いことが知られています。

これはシンプルな理由で、より脆弱な部位に損傷が生じるからだと考えられます。筋腱の起点と終点は骨ですね。したがって、骨が弱いと骨折が、腱が弱いと靭帯損傷が生じる可能性が高くなります。

小児はまだ骨が成熟しておらず靭帯よりも骨の方が脆弱であるため骨折が起こりやすく、成人になると骨が成熟しており靭帯の方が脆弱になるため靭帯損傷が起こりやすいというわけです。

女性アスリートの場合は、骨粗鬆症で骨量が低下し骨の脆弱性があると疲労骨折が、骨がしっかりしていて筋腱の方が弱い場合は靭帯損傷が起こりやすくなるのです。

このように考えると疲労骨折も靭帯損傷もひとつの筋腱複合体付着部周辺障害ということができるかもしれません。

女性アスリート

以上、女性アスリートに多く見られる疲労骨折膝前十字靭帯損傷についてまとめました。

しかし、これらの原因と成り得る女性アスリートの3主徴として「利用可能エネルギー量」「運動性無月経」「骨粗鬆症」があり、これらはお互いに関連していることを知っておく必要があります。

これらの事象が起こっている場合、まず食事量・運動量を見直すことが大切です。

また、これらを放置していると疲労骨折などのスポーツ障害を起こすリスクが高くなる可能性があります。そういう意味でも、女性アスリートにとって、

食事などでエネルギーを十分に摂取し、運動量を調整して、利用可能エネルギー量が不足しないように食事量・運動量を調整することが肝要であり、医療スタッフや指導者もこれを認知しておく必要があります。

 

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