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手指MP関節伸筋腱脱臼に対する対応・治療法|救急外来で対応に迷った症例

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

よせやん

昨日はクリスマス・イブ、今日はクリスマスですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

今年も僕はクリスマス・イブもクリスマスも残念ながらただの普通の日です。

そろそろ将来の伴侶と出会えるといいなと思いながら、こればっかりは神のみぞ知る?ですよね。

 

さて、今日は先日外科系当直をしていて救急外来で困った症を紹介します。

困ったって言っても、その場での対応がすぐに判断できなかったっていうだけで、調べてすぐに対応したわけですが。

何かというと手指のMP関節伸筋腱脱臼の症例です。

Contents

症例

まず、最初にどんな症例か簡単に紹介します。

症例
  • 30代女性
  • 手の甲を勢いよくドアでぶつけて受傷
  • 第3指MP関節背側に発赤・腫脹あり
  • 第3指MP関節を屈曲するとMP関節直上で伸筋腱が尺側に脱臼
  • 脱臼に伴い疼痛・礫音を認める
  • 第3指を伸展すると疼痛を伴って整復される

 

さて、救急外来でこのような症例に出会ったらどう対応しますか?

整形外科医でなければMP関節を固定して帰宅させ、後日整形外科を受診して下さいでいいかと思いますが、整形外科医であればきちんと対応しなくてはいけませんよね。

 

迷うのは、手術で修復しに行くのか、保存で治療するのかですよね。

あなたは自信を持って治療方法を選択できますか?

 

というわけで、手指のMP関節伸筋腱脱臼について勉強していきましょう。

よせやん

手指MP関節背部の伸筋腱機構

まず、手指MP関節部背側の伸展筋機構について勉強しておきましょう。

手指MP関節部背側の伸展筋機構は中央に存在する総指伸筋腱中央索(central slip)(示指については示指固有伸筋腱、小指については小指固有伸筋腱を含めて)を橈側・尺側に近位から遠位に張っている糸状索(sagital band)がちょうど、“やじろべい”を支えるように存在している構造になっています。(下図)


図:手指MP関節部背側の伸展筋機構(背面より)

 

糸状索はそれぞれ側索(lateral band)へ移行しています。

この構造からわかるように糸状索はまるで馬の手綱を左右で引いたような機能を有します。

したがって、一方の糸状索に破綻が生じると中央索はその逆側に偏位することとなります。

 

病態

では、手指MP関節伸筋腱脱臼の病態はというと、先ほども述べたように、

指MP関節上の伸筋腱中央索を両側から支えている一方の糸状索が断裂(全てまたは一部)、あるいは何らかの原因により弛緩することにより中央索がその逆方向に偏位すること/keikou]です。

 

握りこぶしで壁を叩いたなど外傷性のこともありますが、関節リウマチなどの炎症性疾患が原因となる場合が多いと言われています。

MP関節の中手骨頭の横断像の形態は下図のように円形ではなく、尺側が橈側に比べて小さく、かつ全体として尺側に傾斜しているので、伸筋腱脱臼のほとんどは尺側への脱臼で、罹患指の多くはは一番長い指である中指です。

 

症状

症状は、上の症例提示のところに代表的な症状を列挙しましたので、そちらを確認して下さい。

 

治療

で、結局のところ今回の肝、治療をどうするかです。

 

保存療法

まず、[keikou]明らかな外傷により発生した新鮮例には保存療法が適応となります。

保存療法としては、MP関節を伸展位に保持した掌側副子で6週間外固定します。

 

PIP関節が屈曲することにより中央索および側索が遠位に移動し、安静保持ができない可能性があるため、最初の3週間はPIP関節も伸展位に固定し、3週以降はPIP関節以遠はフリーにします。

他指(少なくとも隣接指)も同様に固定すべきとの意見もありますが、そうした場合、ADL上のdisabilityが極めて強くなり、副子装用のコンプライアンスが下がること、手背部には伸筋腱間を結ぶ腱間中隔が存在するので他指の運動から罹患指への影響の軽減が期待されることから、罹患指のみで固定で十分であるとされています。

受傷後6週間以内であれば保存療法が奏功することが多いです。

 

手術療法

保存療法に抵抗性の場合、外傷性でない場合には手術療法を行います。

 

手術療法は極めてシンプルです。

下図のように糸状索の部分断裂(全て断裂していることはほとんどないので、この例が最も多い)の場合は、断裂部に存在する瘢痕組織や滑膜組織を最小限でデブリードメントし、結節縫合を行います。

 

これにより指を伸展させて中央索の偏位が矯正されたならばここで手術を終了します。

ここからは、整形外科医向けの内容です。

 

以上の操作を行っても中央索の中央化が得られない場合には以下の操作を加えます。

特に陳旧例の場合には必要となる可能性が高くなります。

  • 断裂していない方の糸状索を縦方向に切離することにより、中央索の中央化を容易にする。
  • 伸筋腱の一部を利用して近位の糸状索を再建する。
  • これらの操作でも中央化が難しい場合には、近位(多くは橈側)の腱間中隔を隣接指から切離・翻転して、これを罹患指の中央索へ縫合固定する。および、伸筋腱の一部を用いて深横中手靭帯の掌側を通して伸筋腱へ縫合して中央索の中央化を図ります。

 

参考図書

今回の記事の参考図書です。

僕は今は手の外科で持っておく教科書としてはこの本が1番だと思っています。

調べたいことがあって調べるとほとんど載ってます。

手の外科と書いてありますが、手だけでなく上腕まで対応してくれています。

 

まとめ

以上、今回は僕が外科系当直で対応に迷った手指MP関節伸筋腱脱臼に対する対応・治療法についてまとめました。

 

結論としては、救急外来を受診してくる患者さんのほとんどは外傷性だと思いますので、保存療法でよいのだと思います。

アルフェンスシーネでMP関節・PIP関節を固定して帰宅させ、後日フォローしましょう。

 

外科系当直で救急外来の患者さんを診ていると、本当にたまにではありますが、この症例はどうしたらいいんだろうと迷う症例があります。

そんな時は、信頼できる上の先生に聞くか、自分で教科書で調べるのがいいでしょう。

 

少なくとも、迷っているのに勘でテキトーな治療をして患者さんを不幸にさせるのは絶対にやめましょう。

よせやん

 

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