救急外傷患者を診察する人が知っておくべき破傷風とは|原因菌、症状、潜伏期間、危険度の高い傷など!

どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
先日は医師のキャリア革命オンラインサロンの集まりで東京湾クルージングに行ってきました。
また新たな繋がりができたり、新しい知見の話を聞くことができたりと非常に勉強になりました。
そのときのことに関してはそのうち記事にしようかと思います。
さて、今日は救急外来などで外傷患者さんを診療する方が知っておくべき破傷風についてまとめようと思います。
整形外科医はもちろんのこと、外傷の患者さんを診る方は必ず破傷風について知っていなくてはいけません。
外傷の患者さんを診るのに破傷風を知らないのは論外です。
だけど、破傷風って名前は知ってるけど、それがどんな病気で、どういう外傷の患者さんにリスクが高くて、どんな症状を起こすかは知らない人も意外にいるのではないでしょうか?
というわけで、この記事では救急外来などで外傷患者さんを診療する方が知っておくべき破傷風についてまとめていきますね。
Contents
破傷風とは
では、さっそく破傷風について説明していきましょう。
破傷風とは、芽胞形生性の嫌気性グラム陽性桿菌である破傷風菌(Clostridium tetani)の外毒素によって引き起こされる感染症で、全世界での破傷風の発症数は年間70〜100万件、日本国内では年間100件程度と言われています。
破傷風菌の芽胞は土壌中や動物の糞などに含まれて至るところに存在しており、芽胞は最近処理などに対しても強い抵抗性を持っているため、ほとんど全ての物の表面上で長期間の生存が可能です。
芽胞が皮膚の損傷部から侵入すると、すぐに発芽して非常に強力な神経毒であるテタノスパスミンという毒素を分泌します。
芽胞が増殖するのは、壊死組織や血管の乏しい領域などに生じるような嫌気性環境の中だけです。
破傷風の潜伏期間は平均で8日間ですが、その範囲は24時間から数ヶ月と多様です。
しかし、潜伏期間が短い場合ほど、重症化すると言われています。
テタノスパスミンは、不可逆的に結合して抑制性神経伝達物質の放出を遮断することにより、テタニーと呼ばれるしつこい筋痙攣を引き起こします。
咬筋が収縮することによって、牙関緊急と呼ばれる開口障害が生じたり、痙笑と呼ばれる苦笑するかのような特有の表情が見られます。
さらに進行すると、広範囲の筋硬直と自律神経の機能不全をきたすようになり、最大45%の症例が死に至ります。
米国の1995〜1997年の調査によると、破傷風の原因となった外傷の種類では刺傷が一番多く、破傷風患者さん全体の15%が釘踏みによる損傷を受けた患者であったと報告されています。
残る破傷風患者さんの大部分は、裂傷の患者さんと擦過傷の患者さんが大部分を占めていました。
その他の侵入経緯としては、自分で行ったボディーピアスや刺青、動物咬症、昆虫刺咬症、棘による刺傷などがあります。
破傷風の危険度の分類
次に、どんな患者さんに破傷風の危険度が高いのか、どんな患者さんなら破傷風の危険度が低いのかを知っておきましょう。
わかりやすく、破傷風の危険度大と危険度小に分けて考えていきます。
まず、受傷からの時間が長くなればなるほど破傷風の危険度は増大していきます。
その目安は受傷から6時間とされており、6時間を過ぎた症例では破傷風の危険度が増大します。
傷の様子としては、星形や裂けていてキレイではない傷は破傷風の危険度大、直線のキレイな傷は破傷風の危険度小です。
また、深さが1cm以上の傷は破傷風の危険度大、1cm以下の傷は破傷風の危険度小です。
次に、受傷機転として、挫滅や熱傷、凍傷は破傷風の危険度大、鋭利なものによるキレイな傷は破傷風の危険度小です。
あと、破傷風が増殖する環境となる壊死組織や唾液やゴミなどによる汚染があると破傷風の危険度大、ないと破傷風の危険度小です。
おわりに
以上、今回は救急外来などで外傷患者さんを診療する方が知っておくべき破傷風についてまとめました。
次回は実際に救急外来などで外傷患者さんを診療する際に、どういった外傷患者さんには破傷風予防が必要なのか、予防として何をするのかについてお話ししようと思います。
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