スポーツ外傷の応急処置においてRICEはもう古い?これからはPRICE、POLICEの時代に!
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
先日、Spolinkで作成した四肢外傷の現場対応マニュアルを公開しました。
今回僕たちが用いたのは医療者用がPOLICE、一般の方用がPRICEです。
そうです。
日本におけるスタンダードであるRICEが用いられていないんですよね。
実は僕も以前このブログで、外傷の救急対応としてRICEを紹介しています。
だって、日本スポーツ協会の教科書も日本整形外科スポーツ医学会や日本整形外科学会のパンフレットも全てRICEになっているのですから。
ここら辺に関しては、実際はまだ議論の余地のあるところもありますが、PRICEおよびPOLICEというものがあるということは是非知っておいて頂きたいと思うので、今回改めて紹介しようかと思います。
よせやん
Contents
PRICEとは
では、まずPRICEから見ていきましょう。
- Protection(保護)
- Rest(安静)
- Ice(冷却)
- Compression(圧迫)
- Elevation(挙上)
つまり、従来のRICEにProtection(保護)が加わったものですね。
Protection(保護)は患部が動かないように固定して保護してあげることで、二次損傷を防ぎ、患部がさらに悪化してしまうことを防止することを目的としています。
確かに整形外科医をしていると、病院に来るまでに痛めた足で歩いて来て、患部がより腫れたり、骨折が転位したんじゃないの?と思わされるような症例に出会うことがあります。
特に若い人や高齢でも痛みに強い人が危ないと思っていて、中には骨折してるのに普通に歩いてくる人もいます・・・。
つまり、PRICEは例え怪我をしてしまっても、損傷を最小限に止めるための考え方です。
よせやん
POLICE
続いて、POLICEです。
- Protection(保護)
- Optimal Loading(最適な負荷)
- Ice(冷却)
- Compression(圧迫)
- Elevation(挙上)
こちらは、従来のRestがOptimal Loading(最適な負荷)に変わったものになります。
Optimal Loadingは(最適な負荷)は、受傷早期から最適な運動を行なって患部に負荷をかけることで、筋肉の萎縮や患部の癒着を防ぐと同時に、患部の治癒促進を促すことを目的としています。
早期運動療法は、現在の整形外科領域でもスタンダードな考え方で、以前アキレス腱断裂などのリハビリの記事でも紹介しましたね。
つまり、POLICEは外傷への現場対応というよりは、その後のスポーツ復帰を早めるための治療に関する考え方です。
よせやん
時代の流れは?
では、時代の流れも簡単に述べておきましょう。
Optimal Loadingは世界的に見た新たな概念であり現在のスタンダードです。
元は、2011年に出されたBJSMの以下の文献からPOLICEが提唱されるようになりました。
外部リンク:PRICEはupdateが必要!それをPOLICEと呼ぶべきか?
それ以降は、PRICEやPOLICEに関して議論されることが多くなり、国際スポーツ理学療法学会の2017年の学術集会ではoptimal Loadingをテーマにした学会も開催されている程ですね。
また、NATA(National Athletic Trainers’ Association:全米アスレティック・トレーナーズ協会)の2018年のカンファレンスにおいて、RICEの提唱者であるDr.Mirkinが「RICEはもう時代遅れだ」とも発言しています。
外部リンク:なぜRICEは時代遅れなのか?代わりにすべきこと
ちなみに、日本のスポーツ医学に関する団体や学会ではまだRICEが主流となっています。
日本スポーツ協会、日本整形外科学会、日本整形外科スポーツ医学会のホームページやパンフレットも改めて確認してみましたがまだRICEのままです。
おそらく団体として情報をアップデートするのが遅れているだけだと思いますが。
よせやん
僕が考える最適解は
では結局、RICE、PRICE、POLICEのうちどれがいいのでしょうか。
最後に僕の個人的な考えを述べておこうと思います。
スポーツ現場:PRICE
それ以降の治療:POLICE
ズバリこうですね!
スポーツ現場ではやはりProtection(保護)も大切です。
スポーツ医療者であればシーネや三角巾などを用いて、一般の方であればすね当てやダンボールなどを用いて、それがなくても少なくとも患部に負荷をかけないことを意識してもらうといいかと思います。
骨折だったのに無理して動かして転位したとか、1度の靭帯損傷だったのに無理して歩いてつまずいて2度になってしまったとか・・・そんな防ぎうる二次損傷は絶対に防いで頂きたいです。
そして、スポーツ現場では例え医療者であっても、絶対に骨折がないと判断したり、怪我の受傷度を正確に判定することは不可能だと思います。
ですので、スポーツ現場では最悪の想定をして、無理はさせずに患部は安静に(Rest)しておくのが無難かと思います。
その後に、然るべき医療機関でしっかりと診断、重症度を判定し、治療はOptimal Loading(最適な負荷)を含めたPOLICEを意識して、少しでも早い、そしていい状態での復帰を目指すのが最善なのではないかと思います。
おわりに
以上、今回はこれからの時代のスポーツ外傷の対応としてPRICE、POLICEを紹介しました。
最近忙しくてブログではきちんとスポーツ医学の記事を書けていませんが、140文字で気軽に発信できるTwitterではいっぱい情報発信してます。
答えは1. Protection(保護)です。
PRICEはRICEにProtection(保護)を加えたもの。
POLICEはRest(安静)をOptimal Loding(適切な負荷)としたもの。僕はPOLICEが一番いいのではないかと思いますね。何でもかんでもただ休んでればいいという時代は変わってきてますよ!!#スポーツ医学検定 https://t.co/f4WAbbUJPf
— よせやん@目指せスポーツドクター (@sports_doctor93) 2019年2月1日
よかったらそっちもフォローをお願いします。
スポーツ医学もの発展を期待しながら、今後もそういう情報をみなさんにお伝えできればと思っています。
よせやん
本気でスポーツ医学と運動器診療を学びたい人のために!
- どこにいても(都会でも地方でも)
- 誰でも(医師・理学療法士・鍼灸師・柔道整復師・トレーナー・学生などスポーツに関わる全ての人)
- いつでも(24時間)
利用可能なスポーツセミナー動画配信サービス!!
1週間1円トライアル実施中!!